黒森神楽は黒森山を行場とする黒森神社の修験山伏集団によって演じられ伝承してきた神楽だ。その経緯は江戸初期の貞享5年(1688)の南部藩内本山派・羽黒派の派閥抗争、江戸中期の宝暦8年(1758)『黒森権現廻村騒動』など、かなり古い時代から広域の神楽巡行をしていたことがわかる。
また、古い権現様の銘の中には室町時代の文明17年(1458)のもの、さらに遡って南北朝時代初期と推定されるものもある。
これらはどれも幕を付けるための穴があり、歯も摩耗していることから権現様を使った門付けなどの儀礼が行われていたと考えられる。
黒森神楽は山伏神楽でありながら他の山伏の活動範囲である霞場でも演じられ、藩政時代を経て修験廃止となった維新後、そして現在まで伝統を守り巡業神楽として存続しているのである。
巡業は毎年1月から3月まで黒森神社を中心に野田方面へ向かう『北廻り』、大槌方面へ向かう『南廻り』があり、この時期になると村々に豊作と大漁を約束する神々の神楽囃子が響く。
正月3日、毎年この日は黒森神楽の神社舞い立ちの日だ。
この日黒森神社の氏子をはじめ関係者、神楽衆たちは神社に詣でる。
神事では宮司による祝詞の後、社殿前に出された権現様に黒森の神霊を降ろす権現舞が舞われる。
舞い手に扇子と錫杖を持ってショシャ舞を舞いながら最後に権現様を手に権現舞を舞う。この日は山口公民館で神楽披露があり多くの観客が集まる。
このように南廻り、北廻りにかかわらず正月の舞始め儀礼になったのは近年であり、ひと昔前は、神社舞い立ちの後、氏子総代の墓を廻る『墓獅子』などの儀礼をして夜に神楽を披露した。
また、江戸堺に決まった日程で巡業するようになったのは近年になってからのことだったという。
ミヤペディアより引用
ギャラリー(宮古市教育委員会提供)
黒森神楽を見れる日と場所
1/3 神おろし 宮古市黒森神社境内、舞始め神楽 宮古市山口公民館
1/4~5 門打ち 宮古市山口地区
3月上旬まで 陸中沿岸各地を巡業(巡業予定はまだ未定)
7月第三日曜日 黒森神社例大祭
12月第一日曜日 舞い納め神楽 宮古市山口公民館